火曜に帰宅したステが言った。
「近所でエステイト・セールやってるよ」
水曜に帰宅したステが言った。
「近所でエステイト・セールやってるよ」
デジャブーではない。
エステイトとは、「お屋敷」という意味である。
エステイト・セールとは、ガレージ・セールに毛の生えた、つまり若干売るモノの量が多い、でも結局はガレージ・セールであって、開催する人が『こんな呼び方の方がオシャレで高級感があるから』というのでそう呼んでいるのだ・・・・と、すなポンは思っていた。最近は「コックさん」じゃなくて「シェフ」と呼ぶとかあの類。
ステが2日連続でそう言ったので、「行きたいの?見に行ってみる?」と聞くと「うーん。。。」といって、結局時間もなくて行きませんでした。ガレージ・セールって楽しいのですが、どうせつまらないUSEDガラクタを安くもない値段で買いこむだけなので行かない方がいいんです。
そして木曜。
正午ごろ家の前を掃いていたら、一台の車が近寄って来た。
「エステイト・セールの看板を見て来たんだけれども、どこのお宅なのかご存知??」
見れば、人品卑しからぬ50代くらいのご婦人である。車もよく磨かれ、内装もホコリひとつない。
ずいぶん美しい人が来るもんだ。デヴィ夫人からケバケバしさを取って、ミドルアッパークラス風な上品さを想像していただければだいたい近い。
しばらくすると、また別の車に声をかけられた。
すなポンの方から「もしかして、エステイト・セールをお探し??」と聞くと
「あら、そうよ。よくわかったわね!」
残念ながら、火曜と水曜にセールをやっていたことしかすなポンは知らず、本日開催されるのか、またどこの家でやっていたのかも知らなかった。
「今日もやるのかどうか知らないんですけど、ひょっとしたら午後なのかもしれないですよね。」と答えておいたが、これまた、小奇麗な身なりのご婦人2人連れであった。
以前、「あそこのガレージ・セールに来たんだが、フリーザーはなくてなー。まさかあんた、誰かフリーザー売りたい人は知らんよね?」と聞いてきた、軽トラのおっさんとはぜんぜん違う。
これが、ガレージとエステイトの格差なのか??
今度エステイト・セールなるものに遭遇したらちょいと覗いてみるのもいいかもしれない。だが、さっきも言ったように、ロクでもないものを買ってしまうだけなので、特に格安で探しているモノでもなければ、行かない方が身のためだ。
一旦休憩し、午後3時半ごろに掃除を再開した。ちょうど近所のエイプリルさんが赤ちゃんと犬を連れてお散歩中であった。急いでる風もなかったので、声をかけると「そういえば、エステイト・セールやってるの知ってる?今日が最終で、ぜんぶ50%OFFなのよ」と言い出した。
なに?
50%OFFということは、全てに値段が付いているということか?(ガレージ・セールでは値段をつけてる人もいるが、つけずにただ広げてあって、欲しいものがあれば「これいくら?」といちいち聞かなくてはならない場合も多い)それはなかなかシステマチックでよいことだ。それに全部50%OFFというほど品物が多いのか?
エイプリルさんのトーンからは、スーパーダイエーの年末大売り出しくらいの興奮度が伝わってきた。
掃除が終わって午後5時。行っちゃう?
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